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『クエスト・オブ・キング 魔法使いと4人の騎士』の感想

映画の感想
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2019年に公開されたファンタジー映画『クエストオブ・キング 魔法使いと4人の騎士(原題:The Kid Who Would Be King) 』の感想。ネタバレを多少含みます。2021/11/26視聴

クエスト・オブ・キングのあらすじ

誰もが知るアーサー王伝説とその聖剣エクスカリバー。その剣を引き抜けるのは真の王のみ。世界を悪が暗黒に包もうとする時、王の遺志を継いだ伝説の剣も世界に甦る…。
正義感と意思は持ちながらもまだ幼い少年アレックスは、学校でも誰でもない存在。それでもいじめられる友達を守ろうとする強い心を持っている。

ある日たまたま向かう事になってしまったアレックスは工事現場でコンクリートに刺さる剣を見つけて、好奇心から引き抜き自宅に持ち帰るがそれは想像できないほど壮大な冒険の鍵で…。

何故評価されていないのかが不思議な良作

見ようと思ったきっかけは先日Disney+で自分がこの1年ほどで見た作品をリストアップするために開いていた一覧ページで見かけた。
他にもいろんなまだ見ていない作品を見つけてはお気に入りに次々登録していて、この作品も本当に何気なくプラスボタンを押してお気に入りに追加しただけ。
ファンタジーものは好きだし家族で見れそうだったからというシンプルなものでした。

それまでこの作品について名前も何も知らなかったから、知識や前情報もなくて剣を背負った男の子が世界を背景に立っている姿だけを見て、とりあえず流し見でも楽しめたらくらいの気持ちで期待も予想もなく見始めました。(この記事の上の所に発売されているパッケージなどの画像が表示されていると思いますが、これよりもDisney+のサムネイルで表示されている画像が私は好きです。)
分かっていたのは作品ページでちらっと見た「エクスカリバー マーリン」の文字だけ。

エクスカリバーや魔術師マーリンは日本では直接その話を授業で習ったりしなくても別のアレンジされた媒体などで知っている人はそれなりに多いのではないでしょうか?マーリンはディズニー作品でもミッキーマウスのお師匠として出てくることのある大魔術師ですし『王様の剣』というタイトルで物語自体のアニメーション映画があります。
円卓の騎士も近年だと『Fate Grand Order』というマルチ作品でアーサー・ペンドラゴンや騎士たちの名前を知っている人もいるのではないかと思います。

海外でもこの伝説は色んな形でいつの時代も映像作品として主軸に取り扱われたり添えられていたりする大人気作品です。騎士の誓い、真の王だけが引き抜ける伝説の剣、王の意思、魔術師…魅力的な内容が詰まっていて愛されています。

このクエスト・オブ・キングはそのエクスカリバー伝説になぞらえたうえで子供を軸にして現代で大冒険をするファンタジー作品ですが魔法も伝説も現実もとてもしっかりと纏めている作品です

子供主体の世界観は子供向けのようにも思えますが大人にも色々と分けてくれる作品となっています。家族でもとても見やすく嫌味もなく、どの年代でも楽しめると思います。とは言え一桁の年齢の子供だと少し飽きてしまうかもしれません。何しろしっかりとした重厚感があるので。

同じくディズニーで見た『アヴァロン 千年の恋』というアーサー王伝説を取り込んだ作品があるのですが、あちらはティーン向けに近い(どちらかといえば女性が楽しみやすい)作品でそれなりにアクションとシリアスな部分もあるのですがライトノベルに近い感覚。
子供主人公だし頑張る冒険ものなら似た感じかとそのくらいのノリで楽しめるかと思っていたクエスト・オブ・キングは思った以上にシリアス、真剣、真面目です。
それでいて笑いどころもあります。
笑いどころと言っても手を叩いて大笑いをする形ではなくて上手く混ざっています。それに無理なギャグを入れたり下品な描写を入れる事なく綺麗に仕上げているのもかなり家族で見やすいポイントだと思います。

『ハリー・ポッター』の映画シリーズの序盤から中間頃が好きな人ならば間違いなく楽しめます。序盤のハリポタは魔法とその世界の楽しさや明るさを見る側に届ける作りになっていてそこから徐々にシリアスになっていきますがクエスト・オブ・キングは明るさこそ少ない物の確かな成長を描き困難に立ち向かったり悩んだりする姿が子供目線で、とてもしっかり描かれているのです。

主人公アレックスは剣が引き抜けるわけですが基本的には特別な何かを持っていて、というわけでもなくどこにでもいる普通の男の子と言えてその悩みや生活、友達、家族との接し方もまさに10~14歳くらいと言ったもの。
聖剣を手にしてしまうというとんでもないイレギュラーが起きたアレックスですが彼の悩みには繊細だったり日常を感じられて親近感がとても湧きやすいです。
子供たちの内面を出すシーンはそれほど多くないですが、それでも十分に状況や心情が伝わってきて共感が出来ます。どう対処していくのだろう、お話もどうなるのだろうと惹きつけられます。見たのがはるか昔なのでおぼろげですが『グーニーズ』とかもそういう面がありましたよね。
ヒューマンドラマというか成長物語としても見ごたえがあります

それでもアレックスの成長にもつながっていく場面の数々はとても丁寧に優しく、無理なくアレックスの心を置き去りにせず表現しています。
作品を見ていると親の気持ちも子供の気持ちもどちらも分かるし

最近のアベンジャーズなどの派手なアクションに慣れていてそちらが好きな人には少し物足りなく感じるかもしれませんがそれでも終盤のバトルは工夫は舞台や状況なども凝っていてユニークに感じました。

続編が作られる形の作品でもないし、大きな夢を与えてくれるというものではありません。
けれど大ヒットにはならなくてももっと評価されていてもおかしくない作品だと感じました。
時期や宣伝が違っていたらそれなりに売れたのではと思うのですが結果としてはこの作品単体は赤字になってしまったようで、埋もれて知られていないのがとにかく残念です。

魅力的なキャラクターと現代的でリアルな関係性

アーサー王の伝説になぞらえているのもあり、冒頭からも伝説の話が説明されるので内容を知らない人にもなんとなく先の展開が読めない事もない流れにはなっていますが、なんといっても良かったのは登場人物たちの性格と関係性です。

少年漫画とかによくある正義感キャラクターと熱い友情!とかではありませんが10代の子供らしさのある友人関係、現状の生活への不満。
子供だからこそ気付かない、知らない事…それでもどこかでは感じ取っている不安。そういった物を素直に子供の視点から描いています。
子供の目を通して見る世界と、親や教師との交流、人との距離感、望んでいる事は本当にその辺りに居る子供という感じです。
それで子供たちなりに向き合って、ぶつかり合って、乗り越えていく事で絆を深めています。
言葉にしなくても目に見えなくても深まっていくのが誰にでもわかるようなのはとても胸が熱くなりますね。
同時にこんな感じでちゃんと冒険になるの?とも気になりますがそこはご心配なく。

子供が主人公の魔法があるファンタジーというとどうしてもハリポタが浮かんでしまうのでまた出しますが、ハリポタシリーズもハリーだけでなくハーマイオニーやロンは成長していくのですが初期は育った環境から多少は大人びた面もありますが子供らしさが良く出ていましたよね。

嫌いな食べ物があったり、苦手なものがあったり、不満をねじれた形でしか表せなかったり、素直になれなかったり。「もしもここにいない誰かが居てくれたらすべてが良くなるのに」とか「もしも一つの事が解決すれば明るい未来が待っているのに」というのも感じやすい年頃だと思います。それだけ周りを知らないといえばそうですが、完璧な人間なんていない、完璧な世界なんてないという事に気が付き始めて理想とのギャップに打ちのめされる年頃をとても繊細に描いています

個性的な魔術師マーリンはじめ皆はまり役

『魔術師と4人の騎士』とサブタイトルにもある通り、魔術師マーリンが登場します。

個人的になのですがこのマーリンが本当にいい味を出していて創作作品で大好きなタイプのキャラクターです。
具体的にどんなキャラクターかはぜひ見てほしいのですが、マーリンはあくまでアレックス率いる子供たちを導く役ではあるのですがその行動や言動、在り方がとてもユニークで笑いも生み出し作品に味を加えて物語をより生き生きとさせています。
マーリンの役者(達)の雰囲気から表情、話し方などすべてがはまっているのです。これぞこの作品でのマーリン。クエスト・オブ・キングを語るうえで外せない大きな存在です

ハマり役はもちろんマーリンだけでなく主人公のアレックス、アレックスの親友のベダーズ、他の学生たちもそれぞれの性格や個性に見た目や雰囲気がとてもマッチしています。
ふて寝する時の雰囲気や母親との会話、剣の取り扱い方なんて後半の便利な保管方法が出てくるまで男の子だなー!と感じて微笑ましいです。

ベダーズは見た目も性格を表した雰囲気があり気弱で心優しい少年ですがだからこそアレックスと気が合い、またベダーズが居たからこその話の進み方とアレックスの決断があり、ベダーズ含めて子供ならでは、ベダーズならではの信じる強さや高め合える存在として素敵な等身大の成長を見せてくれます。

広い世界と夢と希望を求めたアレックスに現実は容赦なく襲い掛かってきますが、それに対する向き合い方も努力と根性ではなくて、悩みながら、迷いながら、少しずつもたらされる変化も視聴者側に手に取る様に見えてその決断の一つ一つ、迷い、思いが伝わってきてじっと見守りたくなります。

物語の後半にはどういう形か分かりますが向かう先(敵など)は絞られている為、そこへ向かう以外の感情が場面や景色などでも綺麗に織り込まれていますし、終盤は見かけないタイプのシュールな場面もありどのキャラクターも魅力を発揮するのでとても面白いです。

力技もあるけど…それがファンタジーの良い所

魔法があるという時点で現実がどうとかいうのはずれてしまいます。このお話でもリアルさが、と色々語りましたがもちろん力技やちょっと無理やりな展開もあります。
そこはあえてシュールにしていたり、わざとその現実を皮肉ったジョークという形にしたりしているのが好感が持てます。

ファンタジーだから、お話だからといえばそれで片付いてしまいますし私もそれ以上は基本的には望みませんが、この作品はその上をいっています。それでいて魔法とかの面白さを上手く取り入れています。

「もう子供じゃない(子供でいられない)んだ」とか「こんなことはあり得ない」なんていう状況や台詞なんかも言い回しや言うタイミングが面白くて笑いどころになっています。戦いや冒険に関しては一切笑えるものはないのにその最中でも子供ならではの面白さが出ています。

もちろん笑わない真剣な場面もありますが暗くなりすぎず、また特定のキャラクターにヘイトが集まるようなやり方もしていないしテキパキと進んで行ってまたちょっと笑える場面に移動したりして引き締めていくのでだれません。

とあるキャラクターや一部の大人に関してはなんで、と憤る場面も出てきますが物語の構成上違和感が無いというか後から納得できる場面もあったりするので作品を見終える頃まで引きずりません。

実を言うとイギリス舞台の作品は暗いとか静かな物が多いので序盤ではあまり面白くないかも、と心配したのですが全くそんな事はありませんでした。
思い返せば最近はイギリスを舞台にした作品で面白いものが沢山出てきて私自身も楽しんでいるのでこの固定観念を改めないといけないですね。

多少は無理やりな展開とも思える場面はありますが、この作品が伝えたい事はその違いに関してではないので気になりませんでした。むしろ気になりやすいジャンルなのにきちんとバランスを取っていて凄いと感じました。

子供に知って欲しいこと、大人に思い出してほしい事が詰まっている

思い出してほしい事が詰まっているというとなんだかチープになってしまいますが、全編を通して子供の成長や冒険を子供の視点から描いている作品ですが、大人も遠い昔と言う事ではなく感覚として「分かる」という範囲で最大限子供を引き出しています。

また子供の視点からも現実の世界は夢物語は違うというのを壮大な冒険を通して伝えています。それでも子供たちに生まれる疑問から目を逸らさずに一つの提案をアレックスに、ひいては子供たち、そして大人にも向けてこの世界は悪い事ばかりじゃない、大切なのは自分で見る目と心だと、そして自分たちに出来る事があると教えてくれていて教育的にも良い作品じゃないかと感じました。

作中でも出来ない事を出来るようにする事ではなくて、出来る事を最大限引き出して自分の武器にできると教えてあげる、子供に寄り添った優しい作品です。

子供子供と言いましたが大人もそれをサポートしていける、そして大人になったのに子供の頃に描いていた大人は違う、大人というほど大人じゃないと感じる面にも、理想と違ったっていい、自分らしくていいんだと伝え包んでくれるやさしさがあります。

この内容だけでなく見る人にも届く優しさがこの作品ならではの良さだと思います

不満点があるとしたらパッケージに色々詰め込み過ぎていて少しチープに感じる所でしょうか。あとサブタイトルも別のが良かったなとも思います。でもハリポタシリーズの少し前位から人気なんですよね、「○○と~~の××」みたいなの。キャッチーで見るきっかけになるなら大歓迎ではありますがやっぱり作品によっては詰めすぎると勿体ないかなと感じる時があります。

魔術師マーリン・円卓の騎士・聖剣エクスカリバーが出るおすすめ作品

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出演者
ルイ・アシュボーン・サーキス
ディーン・チャウムー
アンガス・イムリー
パトリック・スチュワート
配給
20世紀フォックス
2019年公開、2時間1分
IMDBでのクエスト・オブ・キングのデータ

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