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『インスティンクト -異常犯罪捜査-』の感想とおすすめ関連ドラマ

完結済み海外ドラマ感想
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インスティンクト -異常犯罪捜査-

2018年から2年間放送された海外ドラマ『インスティンクト -異常犯罪捜査-(原題:Instinct)』の感想と打ち切りについての個人的な意見などなど。ネタバレを含みます。

インスティンクトのあらすじと作品紹介

あらすじ

元CIA諜報員でありながら精神異常行動についての本を出版し現在はNYでを大学で教授を務めるディラン・ラインハート。本も大人気で授業はいつも生徒が溢れていて夫とも円満、編集長からは新作の執筆を迫られているものの安定し充実した日々を送り、満ち足りているのにどこか物足りなさを感じている彼の元にある日刑事のエリザベス”リジー”・ニーダムが訪れる。
ディランの本になぞらえた犯罪が起きていてその連続殺人鬼を捕まえる手伝いをしてほしいと言われて共に捜査をすることに。事件を追ううちに忘れていた情熱が目覚めて…。

作品紹介

ディランの本を参考にしている連続殺人をきっかけにディランはNY市警のコンサルタントという立場になり異常行動やその歴史の豊富な知識と観察眼を活かして刑事のリジーと事件を解決していきます。

相棒となり一緒に事件を解決する刑事のリジーの刑事的な勘が組み合わさり、最強のコンビとなって変わった事件の真相と犯人を読み解いてスタイリッシュに解決していく作品です。

犯罪捜査の事件が最高

海外ドラマの『キャッスル』や『エレメンタリー』が好きな人ならはまる事件を数多く扱う作品でとてもおすすめです。
普通の殺人事件で片づけるには奇妙な証拠や、遺体から読み取れない殺害方法、死因も犯人も明白なのに何か腑に落ちないと思ったらさらなる展開が待っていたりして事件は基本的に一話完結で見やすく、たまに続く事件もありますが忘れない程度の長さと時には前回までのあらすじできちんと思い出させてくれたりします。

何があったの?犯人は誰なの?というのを主演の二人と一緒に追いながら推理していくのも楽しいですし、異常行動は犯罪心理以外にも適用されていたり意外に深い歴史があったりと作品内ではリジー達に時にはけむたがられるディランの解説もとても興味深いです。CIA時代のあれこれをちょっと使ったりするのもスパイ物を見ているようで楽しいです。
シーズン2では新キャラクターも登場したりディラン達の生活にも変化が訪れたりと、シーズン1からそういう面は少し駆け足にも感じるのですがどうなっていくのかが気になり飽きさせないです。
事件毎に主演の二人にも事件を通して考えが変わったり悩みが解決したりと変化や成長をもたらすエピソードも多いです。

また、最初に挙げた2作品と同じ変わった事件というだけでなく、捜査や推理をしていく中での閃く瞬間も一緒になって捜査している気持ちになれる爽やかさがありとても楽しいです。
私がシーズン1を見始めた時、ちょうど別チャンネルで「あのキャッスルの制作陣が送る新作!」という触れ込みで始まった『TAKE TWO』というドラマがあったのですが、こっちの『インスティンクト』がキャッスルの制作陣の新作なんじゃないのと思うほど、キャッスルを彷彿とさせるわくわく感でした。

異常行動やその心理についての知識が広がる

事件もので異常行動といえばもちろん犯人の異常性が問われる所ではあるのですが、それに限らずいわゆる多くの人がするであろう行動から外れた行動も含まれていて、私たちの生活や知人の中にも多かれ少なかれ異常行動、もしくはその可能性を持っている人は普通にいるんだな…そしてそれがあって正常であったりする事もあって異常とはなんだろうと考えさせられたりします。

例えばプロのアスリートはものすごくストイックに自分を追い込む事に長けていますがそれも一般人からすると考えられないような生活を長く守って続けていたり、身近な事であればちょっとしたやめられない事(スマホをつい見てしまうとかコンビニでついレジ横のお菓子を買ってしまうみたいなレベルまで)や無意識に出る癖なんかも異常行動に繋がっていたりします。

そういうのをとても分かりやすくディランが解説してくれることによって視聴者も犯人や異常行動についての心理を理解すると共に造詣をもたらしてくれます。

NYの空気感を楽しめる

ニューヨークの街並みはシーン変更の時に映ったりはしますがニューヨークの景色を楽しめるというほどには映されないです。どちらかというと人同士の関わり方や生活の感覚を見るという感じでしょうか。都会でそれなりの企業が多い場所なので有名人がいたりものすごいお金持ちの人がいたり、逆に高い賃料や物価に文句を言いつつ生活していたりと華やかな面からその中で暮らしている人達の世界を堪能できるという感じです。

ディランの夫は元弁護士でバーのオーナーをしていたりと日本では考えにくいような経歴や人同士の繋がりが合って面白いです。
また、ディランは上品な在り方を好むキャラクターなので少し世間とずれたこだわりや行動があり、そこに”普通の人達”はこうする、等ディランとの違いを見せる事によってディランのユニークさが際立ち、さらに多くの人が思う当たり前が新鮮に再確認できたり他の選択もあるんだと気付かされたりします。

ピザをフォークとナイフで食べたっていいよね、でも手でつかんで食べるのが美味しさが増すよね、みたいに何かを否定するわけではなく変わってるなとは言いながらも理解してそれぞれの違いの良さを見せて自分で何がいいか、今まで一つだった考えから違う選択もできる自由があると教えてくれるというのを、そこをメインにしているわけではなくあくまでさり気なく味付けとして作品に添えているのが心地よかったです。

残念ながらシーズン2で打ち切りに

私は日本で放送された去年と今年に見たのですでに打ち切られた後だったわけですが、アメリカでシーズン1が放送された時は開始2か月で2の制作が決まったほどの人気だったのですが、シーズン2では視聴率がふるわず終わっても3への更新は暫く保留となったあと正式に打ち切りが決定した、という流れだったようです。

視聴率が最初の半分以下になってしまったのが原因だとは思いますが、なぜ視聴率が下がってしまったのか、個人的に見ていて打ち切り理由と思われる事を挙げて行きたいと思います。
挙げた事を回避していたら続いていたという事もないと思いますが、もしかしてこうだったらもっといい作品になったし見たかったかもというのを私基準で好き勝手に載せてみます。

相棒もので欠かせない相性

この作品はタイトルも事件もそうですがディランが一番のメイン寄りで私生活のシーンもディランの方が多いですが一応は固定してリジーとタッグを組んで事件を捜査しているので当たり前ですがリジーもメインの相棒ものです。
悲しい過去の傷が癒えないでいるお硬めの女性刑事ニーダムとユーモアがあり家庭も仕事も順調だけどどこかで刺激を求めていたディランという組み合わせはとても良いです、シーズン1の1話目で二人が出会い事件を解決する姿やかけあいはとてもわくわくしました。この組み合わせは間違いないと思っていたのですが、リジーの壁が大きすぎた気がします。

主人公が心に深い傷を負っていて誰かと組むタイプのお話だと長く続くか短く終わるかが極端に分かれる印象です。チームの中に気難しいキャラクターとしているとか、作品のテイストが主人公が孤立する事で成立する形の物語、もしくは元から主人公たちの在り方としてそういった変化や成長に焦点を置いていない作品もあるので全てではないです。

生い立ちや過去の出来事から人との距離や心の壁が分厚いキャラクターは長く続く作品ではその現状をどこかで打破したいと強く思っていたり、復讐や自分なりの過去の事件からの精神的な解放を願っている場合が多く、その場合は明るく優しく見守ったりしてくれる相棒や周りのキャラクターがいて少しずつ殻を打ち破っていくのが見られる場合はとても好感が持てます。お互い欠かせない相棒やチームになっていくのだから当たり前ですよね。

相棒ものでない場合は孤独の主人公として苦悩したりしながらも長続きしますが、いつまで経っても心を開かないと相棒は理解していても視聴者が共感しにくくなってきてしまいます。
リジーも友人の存在やディランと事件を捜査していくなかで少しずつ過去の出来事に心の整理をつけたりとしてはいるのですが、そこから見て変わる関係性が少し薄味に感じました。
特にディランが隠し事はありながらも明るく積極的にリジーに人として心を開いて接している姿が強いだけにもう少しリジーの違った面も見せてほしいと思いました。

似た様に傷ついた女性主人公がいて、作中に心を開いていく様を感じる前に残念ながら終わってしまった作品としては『GONE』
逆にその辺りの変化を物凄く上手く描いて長続きしたと感じるのは『キャッスル』『BONES』『リゾーリ&アイルズ』どれもおすすめです。

ねじこまれた感のある私生活

じゃあリジーの生活シーンがないのかといえばそんな事はなく、友達でもあり上司でもあるジャスミンとの会話やお出かけもあったり、飼っている老犬のエピソードなどはもちろんですが恋愛もありました。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、個人的には「ナシ」でした。変ではない、おかしくはないし有りえるだろうけどなぜそのタイミングでその人と、という印象しか受けないまま最後までいきました。

「リジーが恋愛してるなら心を開いてるじゃんないか、感情も見えるじゃないか」と言われるかもしれませんが、恋愛によっての変化があまり感じられなかったのと作品のなかでこの恋愛を描くことの意味が読み取れなかったのです。
恋愛に関するシーンは何度も出てくるし事件というかリジーとその周りにも関わってくるのですが、ただただ違和感しかなかったです。リジーの感情は確かに出ているのですが反応が薄いというか、リジーの恋愛や私生活で見たい/知りたいのはそこじゃないという気持ちです。
ジャスミンとのやりとりはまだ少しほっとさせる瞬間もあるのですが、話が進むにつれジャスミンとのシーンも事件に絡んだやりとりも減ってしまっていたのでそれならこの恋愛を無理に入れずに違った形でリジーを見たかったです。

アメリカのドラマってとにかく恋愛をさせる(エピソードの中で恋愛を絡める)のが多いですよね。人を信じていないタイプのキャラクターだと一夜限りの関係をしたり。それ自体はそういうキャラはそう言う事しやすい、というので納得は一応するのですが、わざわざどのドラマでもこうしてます!ってシーンを入れるのは個人的にはなんだか不思議です。

脇役たちをもっと輝かせてほしかった

もちろん主役はディランとリジーの二人だし事件ものなんだから二人にスポットライトが当てられていればそれでいいのですが、どの作品でもかならず準主役や脇役がいて、大切な存在です。刑事仲間もたまに台詞があるしどんな性格かはなんとなく分かるけどその辺りがリジー達の口頭による説明で把握させられたりする事が多かったです。

シーズン2では新キャラクターが登場して、わりといい味を出していて設定や話へのかかわりも凄く考えて作り込まれてるのが見て取れるのですが、その分なのか他の元々の準主役たちの出番がかなり削られてしまって、じゃあその新キャラクターを沢山知っていけるのかというと、情報や心情や行動は分かるのだけれど結局の所関わりが薄いのです。

主人公たちを陰から支え時にはちょっとした一言で心に変化をもたらしたり助言をしてくれたり、そして時には面倒事をもちこんだり。主人公をより輝かせる存在である脇役たちは主役以上に輝いていてもだめかもしれませんが、存在感がなさすぎると良い事を言っていても主人公を支えていても記憶に残らないです。
心強い味方であるディランの夫は新鮮な存在だしディランとの相性も良く感じましたが出番はあれど控えめになっているため良いキャラクターだからこそ惜しいという気持ちがうっすらありました。見たいシーンを見せてくれているはずなのに見たい物が見えていない、みたいな感覚です。

深堀して考えた結果浮かんだ事なので普通に見る分には気にならないと思います。全編楽しく視聴したので私もずっと意識しながら見ていたわけではないです。終わってみて、もっと見たかったなと思う部分と言った感じですね。
役者は主役もその他の人達も素敵だったのでもったいない、もっと視聴者との心の距離が近付くキャラクターの見せ方だったらな、と思いました。

シーズン2の終わりが微妙

シーズン2の終わり方のふわっとしたネタバレになります。
アメリカのドラマは特に続きが気になるようなクリフハンガーと呼ばれる「どうなるの!?」という状態で終わる事が多いです。インスティンクトはシーズン1では割と続きが気になる形で終わっていた気がしますが、2ではそれなりに区切りがついているので終わってもおかしくないようにまとめられていました。

ただ、これって本当に解決なの?という消化不良が少し起こる形でした。上と同じく、見せてくれて全部解決しているのに「これでこれがまとまって、あっちはなんだか切り上げて、それはああいう形に落ち着いて、解決?何かがおかしい」と私のインスティンクトが働きました(答えは出ませんでした)。どうなってるのと気にはなるのですがやっぱり微妙にずれているというか、じゃあ続きが気になるかと言われると答え合わせにならないのではないかと感じます。
思えば1の頃から割と事件以外の部分が駆け足に解決したりする事が多かったようにも感じます。「あれ、そんな事でもう解決したの?」と少し雑な印象も受けた時があります。

変わった事件のアイディアは、この作品は本が元になっているし専門家にアドバイスとかもらえると思うのでネタが尽きるとか飽きるというのはなかったと思うので続いていたら面白い事件がまだまだ沢山あったと思います。
知っているような異常行動や見た事があるような事件だとしてもこの作品らしさが出せていたと思うだけに残念です。もしもどこかのテレビ局が権利を買ってシーズン3決定、となったら嬉しいですが純粋に事件は楽しいし多分最後まで見るけど同じままの人物描写だと視聴する側の情緒がおいてけぼりになってキャラクターへの愛着が湧きにくくじわじわと評価が下がっていたかもしれません。

おわりに

続いてほしかったのが終わってしまって残念なだけに、ここがこうだったらと色々書きましたが特にシーズン1はテンポもよく事件も魅力的で面白いのでとてもオススメの作品です。

純粋に事件だけ見るならばぜひ。
現代の色々な問題や新しい定義なんかも濃くはないですが盛り込まれていたりするので見ていて楽しいと思います。

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