ドラマ『プロディガル・サン』1話目の感想と打ち切り理由の考察

放送中の海外ドラマ感想

今月2021年12月よりスーパードラマTVで放送が開始された海外ドラマ『プロディガル・サン(原題:Prodigal Son)』の1話目をみました。日本での放送が開始したのはシーズン1ですが、この作品は残念ながらシーズン2の後に打ち切りが決定しており現時点ではどの局でも買取引き継ぐなどが行われていません。

1話は個人的に楽しみ今後に期待ができていますが、1話だけをみての個人的な打ち切りにつながったのではという理由を作品内から考察しています。作品の外での出来事などは一切考慮していません。

また考察にあたり多少のネタバレ(1話までの分)を含んでいますので未視聴の方はご注意ください。

1話目の感想

最初はホラーのような雰囲気があり、静かな現場から始まります。

しょっぱなから作品の主人公であるマルコムは仕事をクビになってしまいます。
理不尽にも思えますがそれなりに理由もあるのですがマルコムには落ち込む時間もありません。

彼のプロファイリングと背景が役に立つ為、とある事件の捜査を協力する事に…という探偵や刑事のコンサルタントとして推理するものでよくある感じの始まり方をしましたがよくある、におさまらないのがプロディガル・サンです。

まず主人公が『エレメンタリー』のシャーロックとはまた違った方向性にぶっ飛んでいます。

そして一番最初から分かる内容でどの作品紹介にも載っているので書きますがマルコムは連続殺人犯の息子です。
マルコム自身はその立場と自分の在り方にずっと苦悩し抗いながら生きてきました。
それが1話の事件を通してよりマルコムが蓋をしようとしてきた過去を呼び起こしていくことになりこの先の物語にも続いて行く展開が待っています。

とにかく目立ったのはマルコムのある種のカリスマ性と魅力。

こんな形で見る側をはらはらとさせるタイプの主人公は久しぶりにみました。

そして物語もなんとなくありそう、ではあるのに無かった内容だしプロファイルを披露したり危険な場面に立ち向かうシーンもこの作品ならではの方法が取られていたりしてとても面白いです。

最初の5分くらいは「どうかな…」といった感想だったのですが話が進むにつれ今後どうなっていくのかが気になるし、ぶっ飛んだシーンではどうしようかなんて迷いも飛んでいきました。

とにかくマルコムの役者さんの演技がナチュラル(と言っていいのか分からないけど)でとても魅力的です。

ちなみにスーパードラマTVの作品紹介ページでは「親子関係をテーマにした心理学版Dr.HOUSE!」と載っていましたが1話を見た限りではどの点についても全くそんな感じはしませんでした。
番宣CMでは「羊たちの沈黙×メンタリスト」とあって、私も最初に見た後「メンタリスト」と「エレメンタリー」の雰囲気があるとはツイッターで呟いたのでどちらも分かる…とは思うのですが×で組み合わさっているような表記だとそれはそれでまた違うかな…と感じます。
そしてむしろ羊たちの沈黙×メンタリストな作品、見てみたいです。

プロディガル・サンの打ち切り理由を考察

そんなわけで『クリミナル・マインド』も『エレメンタリー』も『インスティンクト』も『ローラ・ダイヤモンド』も『リゾーリ&アイルズ』も…と楽しんだ刑事・推理系ドラマがどんどん終わってしまい、何か楽しい推理系がこないかと思っていたところに飛び込んできてくれた『プロディガル・サン』ですが、残念ながら2シーズン放送したあと打ち切りとなってしまったようです。

もしかしたら打ち切りの理由はドラマの質とは関係ない部分にあったりするかもしれませんが、私なりに1話を見て、こういった部分は打ち切りに繋がりやすいと感じたポイントがあったのでそれをピックアップしていきます。

主人公が輝いているけど脇役が甘い

映画とかであれば主人公が強く際立っているほど周りは薄くてもいいですがテレビドラマではそうはいきません。

特に長くシーズンの続く作品であればバディ・家族・同僚・敵など脇役たちの存在は欠かせません。

ただいるだけではだめなんです。

1話を見た感想では今後に期待できるという意味で印象に残るのは主人公マルコムとは相性が悪そうな刑事…くらいでしょうか。

彼か相棒が、理解できないけど徐々に向き合っていく・理解しようとしながらも分からない部分もあるのにその実力や魅力を認めていくというのがあると分かってないのは視聴者だけじゃなかった…とぐっと見やすくなりますが、今のところあまり期待できない感じでした。

おそらく相棒的な立場になるのかな?と思える女性キャラクターもいるのですが、『メンタリスト』ジェーンの相棒であったテレサを薄味にした「よくいるタイプ」に分類しやすい感じでした。
特に序盤でもっとこの女性キャラクター(ダニ)と割と分かりやすく衝突するか、ダニの魅力を序盤で出してほしかったです。
中盤で他者よりも理解を示し、後半でマルコムの秘密に触れ相棒としてさらに深く関わっていくのを予感させる場面がありましたがとにかく薄かったです。

面白くて長く続いたドラマ作品は大体脇役も個性豊かで輝いていました。

もちろんマルコムの父親はその経歴もあり濃いキャラクターではありますが脇役というより、マルコムの苦悩や諸々の根源なのでいずれ立ち向かうことになる敵側の印象です。

主人公が突拍子もない事をするとか何を考えているか分かりにくいタイプの場合は特に視聴者の気持ちを代弁しているようなキャラがいないとぼやけます。
全員が理解者でも全員が理解しなくてもだめで、割と分かりやすい役割分担がないと脇役も作品もぼやけやすいです。

じゃあ脇役に個性がないのかといえばそういうわけでもなくて、マルコムは父親の他にも家族がいます。
彼を長年見守って来た刑事、彼の母親と妹など。
ただこの母親に対して違和感がものすごかったです。

一般的な母親から外れているとか母親らしくないとかそういう意味ではなくて、なぜこの母親である必要があるのか?
この母親が絡んでいた人生でいまマルコムと妹はこうなっているか?

という辺りがどうにもしっくりこないのです。

苦悩系主人公の家族は大体主人公をさらに困難に立ち向かわせる困った要素を抱えるキャラというのが定番ですが、この母親は良くも悪くも見た事が無いタイプなのでどう判断していいかわからないです。
今の所この母親がいる事でドラマが盛り上がる要素になり得るイメージがわきません。

この点についてはマルコムみたいな主人公の場合よくあるのは母親は何かしらの事件で亡くなっていて妹と二人育ってきたみたいなパターンですが、母親が健在な事でどう話が展開していくのか、妹とマルコムにどういった影響があるのか…。

個人的には見る側が混乱するだけのキャラクターなので、その混乱により話の魅力がぶれやすくなっていないといいなと思います。

検察官は日系の女性で変わり者という設定ですが変わり者度合いが足りていません。

画面が暗い

イギリスかオランダのドラマかな?と思うくらい画面の明るさが意図的に下げられています。

分かりやすいのは日中に外を歩いている時の人物は髪が輝いているのに全体的に曇っているような明るさになっている場面などで、実際にそのまま撮影していたら明るく晴れているのをわざと暗めにしています。

この手法は昔からあって、シリアスや暗めの作品の雰囲気に合わせている場合が多いです。

推理系でも昔は結構あった気がします。
『Xファイル』『プロファイラー/犯罪心理分析官』『ミレニアム』など。『メンタリスト』も少し控えめの色合いでしたね。
けれど近年だとアクションやスリリングな事件を追う話では少し違和感がある形も多いです。

導入部分はホラーを思わせるほど怖い雰囲気もあり、マルコムの抱える恐怖と狂気を演出していますがそんな”殺人鬼の息子”であるマルコムも(今の所)普通に生活をしている青年です。
年の割にコントロールできている部分、出来ていない部分が明暗を描いているのだから映像も彼の抱える闇の暗さを濃くするほどに外で普通に生活を営んでいる人達は普通の明るさのなかにいても良いと思います。

メンタリストのジェーンはマルコムよりも歳と経験を重ねている分、境遇などは全く違いますし性格も違いますが彼の飄々とした部分が画面を落ち着かせた明るさで際立ちます。

マルコムの抱える明るさや強さは影の方が強いので、画面まで明るさを抑えるとせっかくのスリリングな気分がただの陰鬱と言う印象で終わってしまいます。

もう少し惹きつけるシーンが多めでもいい

1話目からもまあまあのスリリングというか意外というか、派手な演出でうわー!と瞬きしないで見るシーンも、そわそわしてどうなるの!?と気になるシーンもあったのですが、1話だから色々必要な物を詰め込んでああなっているのかもしれませんが個人的にもう少しマルコムのプロファイリングや、マルコム自信が不安やら闇の部分ではなく自分の能力を発揮する場面が見たかったです。

リアルに描いているといえばそうかもしれませんが、マルコムの闇は一般人が分かりえないような面もありマルコム自身も持て余している部分です。
なのでそのマルコムだけじゃない、生き生きとしているのになんだか怖さもはらんだマルコムとかもっといろんな面を今後見せてほしいです。

最近はちょっとした探偵物や刑事ドラマでもアクションが派手になってきているのでもっとマクガイバー並みにマルコムが輝くマルコムスタイルを見たいです。

父と息子の関係が描かれた割に薄い

これもまだ1話だからというのもあるし、それこそ物語の確信やシーズン1の後半まで徐々に出していく部分でもあると思うのですがマルコムと父親の回想シーンが序盤から終盤までそれなりにありました。

ただ入るタイミングの問題なのか薄く感じました。

「あー、今そんなことを思い出してたんだ」と理解はできてもそれを見る事でその前後のシーンでは「なんであの時ああしてたの?」「なんで今その決断をしたの?」と逆に混乱を招く回想もあったので結局よく分からなくなる部分もありました。

誰もが最初を見ただけで分かりきっている関係ですが、この作品の場合、父親の心理も息子の心理も当然1話見た程度では分からないため、それなら毎話ごとのテーマに沿った回想を入れていくスタイルにして初回ももう少し回想を減らして今後の話への期待を増す位でよかったんじゃないかと思います。

父と息子の関係が作品に大きく影響してもちろん今後の話での大事な部分になると思うのですが、1話目ではその点に対して期待したほどは魅力を感じませんでした。

息抜きのポイントがほとんどない

特に最近の作品だとバランスよく取り入れているのですが、大笑いはしなくてもくすっと笑える面白い会話やシュールな場面で息抜きをさせてくれる事が多いです。

それが無くて人気の作品ももちろんありますが、それに加えて画面の明るさを落としているのですぐにマルコムの苦悩が顔を出してしまい暗めのポイントに引き戻されます。

暗さと言うのはどっと落ち込むとかではなくて「そうだった、なんだか大変なんだっけ…」みたいにスンッと気分が引く感じです。

そういうシリアスなタイプは最近だと『カーディナル』や『バティスト』みたいな年配よりの哀愁が似合う主人公の作品ではぴったりなのですが、まだ若いマルコムだともう少し息抜きポイントが合った方が現代ではいいかな…と感じます。

そういえばCMでかなり期待していて1話を見たら思ったのと全く違った『アレックス・ライダー』もちょっとこんな雰囲気がありました。
アレックス・ライダーは1話しか見ませんでしたが今月シーズン2が放送されたようです。

おわりに

まだ今年シーズン2が放送されて5月に打ち切りが決定したのでもしかしたらどこかの局が権利を買い取って再開…なんてこともあるかもしれませんが、シーズン2は13話と少なく終わっているのでその可能性も薄いのかなと感じます。

まだ2話目以降どういった展開になっていくか分からない&ネタバレをうっかり見ないようあまり検索していないので何とも言えませんが、とりあえずシーズン1は丸ごと楽しむつもりです。

プロディガル・サンは見る価値があるか?(1月末追記)

打ち切りの理由を考察するためにマイナスになった気がする面を上げてきましたが、じゃあプロディガル・サンを見なくていいかと思うのは早計です。と言うかそう思わせてしまったならごめんなさい。

少なくともシーズン1を見る価値は十分にあります!

ここが微妙だったかなと上げ連ねてきましたが、事件の内容は一話完結で進み親子関係については話が続いて行く形式ですが毎回1話ごとに事件発生から解決までも描かれています。

他のクライムサスペンスと比べると事件自体よりも親子関係に比重が行きがちではありますがきちんと事件も絡めて解決させていく事件は珍しい物もあり、犯人や動機の分かりにくい事件もあってどうなるんだろう?誰なんだろう?と主人公と共に事件を見つめていくのはとても楽しいです。

1話を見てからの考察後も引き続きスカパー!での放送を録画して見ていますが、続きが楽しみだし最後まで見たいと思っています。

そもそもアメリカは年間のドラマ制作数が多いのもあり、かなりシビアに打ちきっていくので名作になれたものや面白い作品もタイミングが悪かったといっただけで続きが無くなる事もありもったいないと感じるほどです。

過去には「それなりに人気あるけど他番組を優先したいから」と言う理由で打ち切られたりしていますが、近年では他番組による買い取りで続行できたり配信から人気が出て制作が続行されるケースもあります。(同じく感想を書いた『ゾーイの超イケてるプレイリスト』感想記事をどうぞ)

プロディガル・サンも少し似た暗さでいくと『アンフォゲッタブル』などが打ち切り後にまた継続したので(さらに打ち切りになってしまいましたが)、もしかしたら今後新たなシーズンが出る可能性もあります。

逆に明るければいいかと言うと似た謎のある『リスナー』は比較的明るいながらも謎の多い作品だったけれど打ち切りとなってしまったので運も大きいです。

プロディガル・サンがこの後どうなるかも含めて最後まで見届けていきたいです。


1/6追記

3話まで見て大体傾向が見えてきました。バディやチーム面の関わり方は少し違うけれど最初の印象からはそんなに変わっていません。

6/3追記

あまりにも事前と1話で抱いていたイメージがかけ離れている為、先入観を無くす期間を設け他のドラマを優先していて放置していますが、先日『ブラインドスポット』のファイナルシーズンを見終わりました。
プロディガル・サンはブラインドスポットのグレッグ・バーランティ製作総指揮というのを知ってなんとなく納得。
じゃあブラインドスポットが好きならプロディガル・サンが楽しめるか?というと別ものです。
個人的に感じた共通点と言えばたまの見せ場の盛り上がり・惹きつけ方は似てるなというところくらいでした。
ブラインドスポットも各シーズンでだれるエピソードや引き延ばしているような「その回での嫌われ役がカリカリして面倒を起こしたり暴挙に出て事件が長引く」「また同じ事でぐだぐだやってる」みたいなお決まりの展開というのがあるのですが、全体的に言えば謎を折っていく過程などはブラインドスポットの方が好みです。

出演
トム・ペイン
マイケル・シーン
ルー・ダイアモンド・フィリップス
ベラミー・ヤング
ハルストン・セイジ
オーロラ・ペリノ―
フランク・ハーツ
ケイコ・アゲナ
制作
ワーナーブラザーズ
2019-2021年放送、全33話
IMDBでのプロディガル・サンのデータ

私の視聴方法と視聴可能な配信サイト

私はスカパー!で見ました
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