漫画に限った事ではないのですが、カラーは綺麗に保存したいですよね。
ドキュメントスキャナーは最新の機種だと1ページを両面とも一瞬で読み込んでデジタルデータに変換してくれます。
文章を読むのにはそれで十分なのですが、
- スキャン画像としても元の状態に近い色で大切に残しておきたい
- 少しでも綺麗なイラストで読み込んで見返したい
こういう場合にはドキュメントスキャナーだと少しその性質から難しい部分があります。
もしも家に複合機やフラットヘッドスキャナーがある場合は表紙だけそちらでスキャンすると綺麗に保存しやすいです。
本を電子書籍化する方法はいろいろありますが、雑誌の表紙も余すところなく綺麗に保存したい人はドキュメントスキャナーとフラットヘッドスキャナーの併用がおすすめ。
フラットヘッドスキャナーとは?
フラットヘッドスキャナーと聞くと一体なんのこと?と混乱するかもしれませんが
平らなガラス面にコピー用紙や本を裏返しに載せてスキャンする
学校やオフィスにもあるコピー機のスキャンする平らなスキャナー部分のことです。
コピー機やプリンターと一緒になっている場合が多いですが、薄くて平べったいスキャナーの機能だけがついた機種もプリンターより安い値段で売っていたりします。
平らなガラス面に紙を乗せて、光を当てながらスキャンすることで複雑なデザインなども歪まず綺麗に画像として読み込むことができます。
少し曲がっていてもスキャナーの蓋で上からそっと押し込めば真っ直ぐなページを簡単に読み込むことができ、コピー機能と合わせてとても便利です。
最近人気の非破壊スキャナーはこのガラス面がなく上から見下ろすように光を当てて下に置いた本を読み込みます。
平らに綺麗に読み込める分、大きな本や紙をスキャンするにはそれだけのサイズに対応したガラス面が必要になるので少し場所を取ります。
ADFスキャナーが付いているプリンターもあります。
ADFスキャナーとは、ドキュメントスキャナーと同じ形式で、機械の中にあるガラス面の上に紙を移動させながら読み込むスキャナーです。
フラットヘッドと比べて場所を取りませんが、読み込み速度に関しては機種によって異なるのでどちらがいいとはいえませんが、狭い隙間のなかで同時に表裏をスキャンする為1枚ずつに分かれた紙でないとスキャンできません。
コンパクトなADFスキャナーは私が所持している「Scansnap S1300」を見ればどのような形かイメージがしやすいと思います。
フラットヘッドスキャナー併用がおすすめ
表紙が全面スキャンできる。
ドキュメントスキャナーの場合、どうしても本が糊付けされている部分は切り落とさないといけません。
スキャンする段階ではカラーの表紙の端っこが切り落とされてしまうので、ちょっと損した気分になってしまいます。
なので裁断を行う前に表紙をフラットヘッドスキャナーのガラス面に平に置いてスキャンすれば端が切れる事なく全面フチなしで表紙を保存する事が出来ます。
さらに工夫すれば表表紙・切り落とす背表紙・裏表紙をそれぞれスキャンして編集ソフトで一つの画像にまとめることも可能です。
時間はかかるけど仕上がりはとても綺麗
画質についてはdpiなどの設定でどちらも同じ仕上がりになるのでそれほど差はありません。
でも少しでも綺麗に元の状態が分かるように保存したいなら裁断する前に
表表紙・背表紙・裏表紙をそれぞれフラットヘッドスキャナーにしっかり押し当ててスキャンし、それぞれの画像を画像編集ソフトで結合するのがおすすめです。
別に端がすこしきれてもかまわにというばあいはふつうに裁断してスキャンすればOK。
もしくはページをめくるだけで電子書籍化できる非破壊スキャナーのススメで紹介している非破壊スキャナーで表紙をそれぞれ読み込むのもいいです。
今はフラットヘッドスキャナー単品での販売が減っているので、その後のスキャンも考えると非破壊スキャナーで表紙をスキャンするのが経済的にも時間的にもいいかもしれません。
非破壊スキャナーならスキャナーの下に本を置いて撮影するだけなので
重しとかも必要がなく、歪みの心配も少なく、手間も最小限で済むと思います。
既にドキュメントスキャナーを持っていて表紙を綺麗にスキャンしたくなった場合はフラットヘッドスキャナーを候補に入れて見てください。
表紙をはがすのは難しい
漫画雑誌の表紙は、内カバーの厚紙の様にメリットはがすのはとてもむずかしいです。
試しましたが薄いので破れやすく、破れ方も悲惨です。
それに仮に気を付けまくって破く事なくはがすのに成功しても、背表紙や淵の印刷インクが剥がれ落ちて皺が出来てしまい、スキャンはしやすくなっても元の画像がボロボロになる可能性が高いです。
特に古い雑誌だと印刷のインクが風化し、もろくなっていてぽろぽろと粉の様に落ちやすくなるのでおすすめしません。
よほど表紙自体が厚紙で、さらに頑丈な透明フィルムで表紙の印刷を上から保護と加工してある場合は色落ちせずにはがせるものもあります。
ただ種類はとても少ないと思うのでそれよりはフラットヘッドスキャナーなどで読み込んでしまった方がストレスもありません。
カバー付きの漫画雑誌はおこのみで
本誌の周りが厚紙になっていてその上につるつるとコーティングされたカバーがついている、単行本と同じ形式の漫画雑誌についてはめくるだけなので裁断せずにスキャンできます。
ドキュメントスキャナーの「長尺モード」というのを選択すればコミックのカバーも漫画雑誌のカバーもつるっと読み込んでくれます。
片面だけ読み込めばいいしはやいのでおすすめです。
ただ、カバーに使われている色によっては綺麗に保存できません。
代表的なのは金や銀、ラメなどキラキラした色味が使われている表紙です。
ドキュメントスキャナーでは高速で読み込むため、流れるカバーに光を当ててスキャンしますが
この光があたる中で素早くカバーが移動するとどうなるかというと、金や銀などの部分がまだら模様になったりします。
フラットヘッドなら固定した表紙に、ライトを当てながら移動して読み込むのでそのまだらが発生しにくいです。
元の見た目がそこそこ分かればいいカバー表紙はドキュメントスキャナーの長尺モード
綺麗にこだわって保存したいカバー表紙はフラットヘッドがおすすめです。
フラットヘッドは長尺非対応
当たり前ですがフラットヘッドタイプのスキャナーはガラス面に当てた本を固定した状態でスキャンします。
そのためフラットヘッドスキャナーのガラス面が読み取れる最大範囲までしかスキャンする事が出来ません。
そこで試したのはカバータイプの表紙を
- 両端を折り込んで片面ずつスキャンする
- 中央付近でカットして2枚に分けた物をそれぞれスキャンして画像編集ソフトで結合
- 同じ角度で左端を中心、右端を中心にそれぞれスキャンして画像編集ソフトで結合
結論から言うとカバーに関しては3の右端と左端をそれぞれ中心にスキャンして画像編集ソフトで結合するこたちで落ち着きました。
詳しい方法はまた後日図解付きで紹介予定です。
両端を折り込むとそのまま保存するなら問題ありませんが、1枚の画像に繋げたい場合は画像編集にとても時間がかかったのであまりおすすめしません。
中央付近でカットすると、丁度曲がっている部分なのでどちらかが浮いてしまって上からかなりしっかりした重しになる物を重ねないと端が歪んだ状態でスキャンされたので微妙な仕上がりでした。
画像編集が面倒ならそのままでも大丈夫
私は前後と背表紙を合わせて一枚の画像にするのが好きなのでその形式に保存するために
- スキャンした表紙を真っ直ぐにそろえる(クリップスタジオ)
- 表紙の余白をトリミング(トリミングソフト)
- 要らない部分が消えたそれぞれの画像3枚を結合(オンライン結合)
- 1枚になった表紙の色を調整(クリップスタジオ)
して、後からさらにPDFで読み込む本編に画像追加モードで付け足して一つのファイルにしています。
私はそういうのをこだわりたくて作業も楽しいからやっているので気になりませんが、それなりに集中力も必要になりますし時間もかかります。
とりあえずそれぞれが保存されてればいいや!という人は読み込んだままか、周りの余白だけをカットするだけで保存しても十分綺麗です。
ドキュメントスキャナーで表紙をスキャンするコツ
金銀ラメなど
カバータイプにしろ表紙にしろ、光の角度で色に変化が起きやすい金銀ラメをドキュメントスキャナーでスキャンしてそれなりの形で保存したい場合は
- スローモード(静音モード)でスキャンする
- 画像の解像度(dpi)の設定を高い物にしてみる
- 何度かスキャンしてまだら模様があまり出なかった画像を保存する
辺りを実行してみてください。
特にスローモードでスキャンする設定にしたら紙の移動速度が落ちるのでまだらが発生しにくいです。
解像度の高い綺麗な画質(400dpi以上)に設定するとゆっくりしたスキャンになるのでスローモードにする必要はありません。
とはいえあくまで通常のスピードで読み込む場合よりはよくなる、という程度で完全にまだら模様を防ぐのはむずかしいです。
そこで同じ表紙を何回か読み込んで並べてみて、まだらがあまりひどくない物を選んで保存しましょう。
フラットヘッドスキャナーのデメリット
あくまで漫画雑誌の表紙を綺麗にスキャンしやすくておすすめしていますが、基本的には本の自炊(電子書籍化)を全部行うのには向いていません。
なので基本はドキュメントスキャナーや非破壊スキャナーなどをサポートする位置が丁度良いと思ってください。
フラットヘッドスキャナーを改造して自動で読み取っていくスキャナーにしている凄い人もみかけましたがちょっと難しそうです。
一枚ずつ手作業
それで普通にフラットヘッドスキャナーで読み込んで行こうとした場合、自分でページを一枚ずつ置いて蓋をしてスキャン、開けてひっくり返して蓋をしてスキャン、ふたを開けて次のページを置いてスキャン…と全部手差しで行わないといけません。
表紙の3か所だけを読み込んだりカバーをちょっとずらして右と左を読み込むだけならやりやすいですがまるまる1冊をやろうとするとかなり時間がかかりますし、付きっきりにならないといけないので疲れます。
時間をかけるのが気にならないとか、
一つずつ作るのが好きとか、
そもそも読み込む予定の本やページ数が少ない場合はフラットヘッドスキャナーだけでも十分です。
入手が難しい(現在は復活)
あと最初の方でも書きましたが、最近はフラットヘッドスキャナー単体ではあまり販売されていません。割と安価ですが、商品を探すのが大変だったりします。
この記事を作成した時点では販売が少なかったのですが2024年に改めて確認したところA3まで読み込めるフラットヘッドスキャナー、安価でA4サイズをスキャンできるフラットヘッドスキャナーも販売されていて値段も1万円前後から5万円ほどで様々あるようです。
ドキュメントスキャナーと違って手差しでページをめくったり入れ替えたりと、スキャンする面に触れる事が多い為細かい傷がつきやすく、保存する画像に影響が出る事もあります。
すでに自宅に複合機(スキャナー付きコピー機)がある場合などはぜひ試してみてください(特に複合機からの設定でスキャンするのではなくパソコンにインストールした専用ソフトを使用して調整して読み込むのがおすすめ)。
私のようにドキュメントスキャナー(非破壊で上部から読み込むものではなく裁断済みなどページを挟んで読み込んでいくタイプ)と併用する場合には同じメーカーでそろえると設定などが感覚的にしやすいかもしれません。
置き場所を確保しないといけない
普段はしまっておく分には縦置きすればそれほど場所はとらないものの、別の非破壊スキャナーやドキュメントスキャナーと別でそろえるなら使い分けるときに毎回使用するものを片づけたり出したり、というのは少し手間かもしれません。
デスクや棚などに普段からおいておくスペースがあるなら問題なく快適に使用することができると思います。
また、出したり片づけたりが面倒になる場合もあるかもしれませんが最近はパソコンに有線でつなぐ必要のないWifiやアプリ対応の商品もあるので必ずパソコンの真横に並べて使用するという必要はないのでそれほど置き場所使用する場所に悩まなくて済むかと思います。
またA4サイズを読み込めるタイプはそうでもないですが、A3サイズを読み込めるフラットヘッドスキャナーは当たり前ですがA3より少し大きめの盤面が折りたたんだりできない状態で場所を取ります。
いずれもスキャンのみのフラットヘッドスキャナーは薄型なので厚みはないですが読み取るサイズの分の場所は平置きで確保しないといけなくなります。
購入前にA4サイズを平らに読み込みたいのか、A3サイズが必要なのか自分の読み込みたいもの・今後読み込むのに多いサイズを知っておくことと購入時に本体のサイズがどのくらいかを商品ページでしっかり確認しておくことをおすすめします。
細かい設定がしにくいものも
最近はドキュメントスキャナーのソフトが優れてきているのもあり、細かい所まで自分の好みに設定がしやすいですがフラットヘッドスキャナーはシンプルな分ソフトでもあまり色々設定をできないものもあります。
なので最近のスキャナーに慣れている人は少しもたついた印象や使い勝手に不満がでやすくなるかもしれません。
大手メーカーの販売している最近の複合機とかだとソフトでの設定が色々できるので問題ありませんが、型の古いもので試す時は注意が必要です。
CANONやEPSON、RICOHなど聞いたことのあるメーカーならまず問題ないとは思いますがどのメーカーでもそれぞれの癖というかアプリなどの使い勝手は違うので使ったことがあるものだったり子に見に合わせて選ぶとそれほど困らないと思います。
スキャナーによっては隅が読み込まれない
私の使っている複合機のスキャナーがそうなのですが、ガラス面の端にぴったり合わせて読み込むと数ミリが読み込まれません。
なので、確実に読み込まれるように少し大きいサイズでガラス面に余幅を設けて置いてスキャンしています。
どの機械でもそうですが、機械ごとにクセや特徴があるのでどの機械はどこが弱点か、何でそれをカバーするかは判断していかないといけません。
ちょっと面倒ですが分かってしまえば対策した後は問題が無くなるのでより快適に作業が出来ます。
なくても良いけどあると便利
以上がフラットヘッドスキャナーを本の電子書籍化に有効活用するメリットデメリット、主に私が併用をすすめたい理由となります。
ドキュメントスキャナーだけでもいいし、非破壊スキャナーならそもそもフラットヘッドスキャナーはいらなくなるので必須ではありません。
でももし家に複合機や平らなスキャナーがあるならぜひ表紙のスキャンに使用してみてください。
用途に合わせて使い分けをするととても便利です。
私は漫画雑誌の表紙・背表紙・裏表紙の他に、カバー表紙、色が複雑な帯を複合機のフラットヘッドスキャナーで読み込んでいます。
なるべく時間をかけずささっと読み込みつつ綺麗に残したかったら非破壊スキャナー
時間がかかっても良いからこだわりたいならフラットヘッドスキャナー+ドキュメントスキャナー
特にそこまで表紙や綺麗なカラー部分の端まで残したいというこだわりがなかったらドキュメントスキャナーのみで大丈夫です。
端が切れてしまうといっても、ノリ付けされている位置によっては背表紙からほんの2~4ミリくらいなのでそこまでこだわらなくていいかなとは自分でも思います。
具体的にどのくらい違ってくるかは、これまでの自炊(本の電子書籍化)した本の写真や動画を残していないので、またこれから実験をしながらブログと動画で結果を報告していきたいと思います!
ちなみに…複合機の場合
年賀状などを作成する為やちょっとした仕事のために複合機(スキャナーとプリンターが一つになっていたりFAX機能がついていたりするもの)を持っている人なら始めやすいですが、
これから複合機を買おうかな?と思っている場合は印刷と読み込みどちらにより力を入れたいかで、基本情報をしっかり確認してみてください。
複合機のスキャン機能はフラットヘッドだけでなくドキュメント用の読み込み口もある機種があります。
我が家の複合機がまさにそれなのですが、ドキュメントスキャナーとのスキャン速度にはかなりちがいがあり複合機だと遅いです。
複合機の購入理由がFAXと印刷用途を中心に考えていたのもあり、スキャン機能に関してそこまで調べ混んでいませんでした。
速度を気にせず購入したので10万円ほどするエコタンクモデルにしましたがそれ以前に使用していた業務用の複合機と比べてもかなり読み込みは遅いので注意してください。
読み込み速度の体感はEpson DS570w>業務用複合機>Scansnap1300>エコタンク複合機
機種によってはスキャンも早いよ!というものもあるので事前に調べて空の購入がおすすめです。
画質はどちらでも読み込んで比べましたが特に大きな違いはありませんでしたが、読み込み方によってはぼやけた絵になる場合があります。
電子書籍化したい場合は複合機のメニューから出なく必ずパソコンのソフトから設定して読み込んだ方がいいです。
また、印刷も綺麗に行いたいけど頻繁には使わない、と言う人にはエコタンクではなく通常のインクジェットプリンターの方がおすすめです。
我が家で使用している機種や個体差もあるかも知れませんがノズルがとても乾きやすく、すぐしましまの状態になってこまめに内部クリーニングとノズルチェックを行わないといけないのが少し面倒です。
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