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救われない話と救いがない話

妄想物がたり
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バッドエンドの種類は豊富

割とどんなアニメや漫画、ゲームのストーリーも楽しむ。もちろんその中で好きなジャンルや傾向と逆に苦手なのもあるけど、その中で最近分からなくなっていた好きだけど苦手なのもあるのがメリーバッドエンドと言われる主人公は幸せだけど傍から見ると幸せじゃない終わり方と救いに関する影響の大きい話。

メリーバッドエンドに関しては少しの間は陰鬱な気分になったりなんで…と思うけど、結局の所はそれが「もっと他にも何かあったんじゃないか、できたんじゃないか」と思っても主人公の選択で本人が満足して幸せならこういう形もあるんだなって納得出来る事が多い(主人公じゃないキャラクターがそれまで必死にがんばってきたのに報われず、最終的には本人の決断で何か守るために命を落とす物は納得できない事が多い)。

最近悩まされていたというか、内容を知るまで好きか苦手かわからななくてその基準も上手く説明できないでなんでなんだろうと思っていたのが後者。なぜ気になったのかもわからないけど最近そういうので好きな作品と苦手な作品に触れる機会が多かったからかも。

やっぱり今も上手く説明できる気はしないけど、自分でそのバッドエンドのような辛い展開や結末を含む作品の中で同じような内容なのに好きか見ていられなくなるかが分かれるのがどうしてか、少しだけ分かってきた気がするからまとめてみる。

日本語として使い分けがあるのか私の使い方であっているのか分からないけど、ここでは自分の考え方に合わせて分けてる。

救われない話

救われない話は好きな方で、主人公が努力してもあがいても予定調和のように絶望や滅びが待ち受けていたりするもの。美しく描かれていると残酷さがより際立っていて刺激的で、心に残る。

最近人気の作品だとゲームのニーアシリーズとかリトルナイトメアみたいに考察が多く出来る作品はその傾向が強いと思う。
『フランダースの犬』も悲しい最後で有名だけど、どちらかというとこちら寄り。世界観からしてキャラクターが割と死ぬのが予想できるような苦しい状況から始まる『進撃の巨人』、後は作品名を出すとそれ自体がネタバレになりかねない物しか浮かばなかったから広くまとめると冒険もので冒頭で悲劇的に亡くなってしまう主人公の家族や恩師、病に倒れる友人、長く一緒に戦ってきた仲間が人や信念のために命を落とす展開も心を熱くする。

作品全体を通して暗いわけではないようなものでも少し混ざっている事があるけどそれがより悲壮感があったり主人公を奮い立たせて強くする要素になる。辛い立場に置かれても立ち上がって進んで行く主人公に待ち構えている容赦のない心を打ち砕く真実はそれをどう打ち勝っていくのか、それを踏まえて主人公がどうするのかとわくわくさせるスパイスになる事も多い。
推しキャラだったり長く見て親しんだキャラクターによっては暫く引きずるけど、ここでこの展開があったからこそこのキャラクターが活きる…この出来事があったからこそ後の展開や終わりに繋がっていくのが魅力になる。そういう要素は救われない話に分ける。

理不尽で過酷な環境に突然投げ出されて登場人物が殺し合いどんどん人が減っていく映画の『バトル・ロワイヤル』とかも殺伐とした世界を描いているし残酷だけど魅力的に感じる人が多かったのはその謎と主人公がどう立ち向かっていくのかが惹き付けるからだと思う。
ミステリー作品もそういう要素が強い。作品を彩る上で必要な死だったりするから。殺人事件がないと探偵や刑事が活躍して解決する話を見る事が出来ない、物語が動くうえで必要な犠牲みたいなもの。それを魅力的に描いているものが多いのが救われない話。

作中で誰がどんなに手を差し伸べて必死で救おうとしても、むしろそうすればするほど届かない手と思いが痛く視聴している側に重くのしかかる。それが主人公を闇落ちさせたりトラウマになってそれ以降の決断や行動に大きな変化をもたらすのも、その存在を感じられて良い。
作品が終了しても途中退場したのにずっと語り継がれる愛されるキャラクターもたくさんいるのは、そのキャラクターが主人公と作品に及ぼした影響が大きいからだと思う。

「他に違った未来があったかもしれないのに」「もしもそのキャラクターが生きていたら」なんて救いたくなるしifの話を想像して形にする人もいる。何とかして自分の手で救ったり幸せな別の未来を描いたり、退場する前に作中で見えなかった裏側ではこうだったんだろうかと想像するのも楽しい。
もちろんすべてに置いて退場まで完璧だった、なにも付け加える事も変える事もないというキャラクターもいるけど退場してからのそういう心情は自分の心を救っているのもあるけど、それだけキャラクターを愛していて、そして愛せるキャラクターだからこその流れ。

「この作品はキャラクターが沢山死んでいくタイプだな」って分かって心の準備をしてくれる親切な作品も多い。選別に慣れてきただけとも言えるし、逆に裏切ってくる作品もあるけど。分かって構えていれば逆にどのキャラクターにどんな事が起きるのか楽しめる。ホラー作品はまさにそれ。
見る前から大量に登場人物が死んでしまうし、なんだったら犯人含めて全員死亡エンドすらありえると分かった状態から始まるけどそれすら楽しめてしまうエンタメ。こんなこと言ってるけどホラーは苦手。怖いし驚かしてくるから。でも苦手なのに一時期はまって色々見てた…不思議。

救いがない話

最近見て一番分かりやすく拒否反応が出て気付いたのが「主人公が傍観者、もしくはストーリーテラー」のタイプ。むしろここから大丈夫な辛い話と大丈夫じゃない辛い話の違いを考え始めた。
こういう悲しい話も好きなのになんでこの作品、あるいはエピソードはだめなんだ?なんでこのキャラクターの死は受け入れられないんだ?と思って突き詰めていったというか、それが頭から離れなくなってた。

まず無理って思った作品の何が無理だったのか考えたら出てきたのが、その作品では「やりようがあったのに主人公が何もしなかったのを不自然に正当化している、もしくはそれが疑問も持たず受け入れてる」ものだった。
胸糞展開やクズな主人公が出る作品は多いしすべての主人公に正義感を求めているわけではない、それらは割と割り切って楽しめる物も多い。その作品では主人公はクズという設定や位置づけではなくてむしろ可愛い愛されキャラクターであって、そのキャラクターの目を通して起きた出来事が描かれていた。

とはいえ不自然に正当化している場合、後々の展開でその時主人公が不自然な行動や選択をしていたのは伏線でしっかりとした理由があったからとなると話は違う。だって納得ができるから。その前に見るの止めたらだめじゃんと思うかもしれないけど、それは一度で無理となって伏線の可能性に気付けず見続けられる他の魅力がなかった、つまり相性が悪いアプローチだった場合は仕方がないと思う。
なので「あの作品無理だったー」と人に話した時に「何話まで見ると印象が変わるかも」と教えてもらったら見直すし、言われたように印象が変わる事も多い。そしてそういうのは「もっと最初に○○を入れてくれていたらなー」とか見続けたくなる自分の好きな要素をもう少し取り入れてほしかった惜しい作品でもある。
個人の好みだしワガママではあるけど、それで例えばあとでどんでん返しが待ってるしそこにたどり着いたら最高なのに多くの人がその前に諦めてしまったら結局もったいない名作になってしまう。ビジネスとしても作品としても。
原作は最高なのにアニメから入ったら全然良さが分からないであろう作品なんかは、原作で描かれている必要な伏線や情景をアニメ化の際に取りこぼしている事が多い。そういうのはアニメから入った勢ははまれないし原作ファンからしても悔しい気持ちになる。
人の伝達は伝言ゲームや画像の保存と同じで100%を提供されてもそれを繰り返し移し替えていくことで間の主観や余分な判断が入って劣化していってしまう。だからアニメ化や実写化は作者が伝えたい事をより多く汲み取って限られた時間に納めないといけないものすごい技術が要求されるんだと思う。その辺りは作者の手を少し離れてしまう事で起きるある意味救いがない話になってしまっているかも。

脱線しすぎたけど戻る。
悪い事もしていない愛されておかしくない、応援したいキャラクターが辛い目にあっているのを力のある主人公が目の当たりにしたのに助けも同情もせず何の感情も見せず手を払いのけて、作品からキャラクターを切り捨てていたのが個人的に受け付けなかった。

救いがない話で主人公が傍観者やストーリーテラーの場合苦手と載せたけど好きな例もある。『笑うせぇるすまん』とかの、自らがその悪の種を提供していたり一方的に植えつけたりする作品。最近でもその系統の作品は沢山あるけど、その中で面白いのはエピソードを魅せるための展開が多いしそうなっても仕方ないかも、と納得や共感ができたり、自分だったらどうしていたかって考える余地のある作品。
逆に面白くないのは作者の「ぐろいでしょ、胸糞悪いでしょ、つらいでしょ」が透けて見える作品。そちらにばかり力が入りすぎて見る側に押し付けていて、逆にそれ以外特筆する魅力がない。中には私が魅力を見いだせなかっただけで人気の作品もたくさんあるから好みによると言ってしまえばそうだけど、そう言ったら勝手にカテゴライズして自分中心の考えを述べてるただの好みによる独り言だから気にせず続ける。
映画で一時期感動物が流行った時に感動胸焼けを起こした人もいるのではないかと思う。主人公が病と闘いながら恋に落ちるけど亡くなったりする結ばれない過程とつらくなっていく最後を描いた悲恋ものとか地球が滅亡するのが確定してる中でもがいてみたけどやっぱりだめだったけどその終わりまでの感情や愛情を描いた作品なんかがヒットした事で似た系統のがどんどん出てきて、どれも良い作品は感動するししすぎて泣きすぎて頭も痛くなる事もあったし、感動したい気分じゃない時は見なかった。
ただ胸焼けになるのは、お腹いっぱいの所に無理やりつめこんだんじゃなくて「ほらほらー好きな泣ける話だよ感動するでしょ悲しいでしょ泣いて泣いて」と物語の美しさや切なさを出すのではなく流行りに乗って泣かせる事に意識が行って作られているのが見る側にも透けている作品は興ざめして結果胸焼けして本来の良い作品まで見る気が失せて泣き映画離れが起きたりする。
作者が意図せずそうしているものも多いし中にはそれでもヒットするものもあるから全てがそうとは言えないけど、作品以外のエゴが見え隠れするのはまず作品に集中できないし物語が邪魔される。

物語じゃなくてただグロや後味の悪い話の詰め合わせが見たいだけの時は良いかもしれないけど、私は話のある作り込まれた作品が好きだから納得のいかない理解の及ばないキャラクターの扱いや死は受け入れにくい。
どうしてもキャラクターや作品が雑に扱われたと感じてしまうから。

主要キャラクターの一人が魅力的で頭も切れるし秘密を握っているかもしれないという設定の人でこの後どうなるのかと思って待っていたのに出番がないと思ったら関係ない事で死んでました、みたいに説明もなく退場させられていた事が合った。
あまりにもさらっと説明して終わったから、よく海外の刑事ドラマで死んだって事にして密かに独自捜査して…なんていう展開なのかもとネットで調べたら最新の話まで行ってもそういう設定はなくて死んだまま、さらには確実に死んだのがそのキャラクターと分かる描写が後付けされたみたいに載っていてがっかりした。
せっかく魅力的で今後活躍しまくると思われたキャラクターだから、調べてその後を追いかける人も多かったんだと思う。それなのにこの扱いは作品としての胸糞悪さじゃなくてただの悪印象。退場した後も色々ifを考えて、というのはこの場合もあてはまるけど、こっちは本当にそうしないと心がもたないしやってられない、そうでもしないと作品を今後追っていけないから強要されているも同然。
キャラクターを愛ゆえに救いたくなる救われない話ではなく自分の心を救わないといけない状態は自分が望んで準備してその作品に飛び込むのとは違う。それを呼び動作なくぶつけてくる作品はとても意地悪だと思うし憤りを感じる。しかも一度知ってしまった物は無かった事にできずずっと残るのも嫌な所。

最初に挙げた辛い目にあっているキャラクターもこれから主人公が助けるのかな、と勝手に思い違いをした結果だし、なんだったら主人公が辛さに乗ってさらにかわいそうにしたり(思い返したら少し加担して増長させてた)とどめを刺したりしていたかもしれないからそれよりはましか?いっその事とどめを刺してあげた方が救われた。
つまり、救える人(主人公)がいて救う事が出来る状況だったのに助けない、差し伸べる手が掴めなかったのと違ってそもそも差し伸べる気が無い、気まぐれに落とすためだけに差し伸べられた手がやっぱり落として、差し伸べた手は汚れもしないし次の日にはそんな事なかったように進んで行くのがとても嫌。
作品のためという言い訳でただただ雑に殺されたり不幸になるし、それがその後の展開に何の影響もなく消費されるだけのかわいそうな設定を付けられたキャラクターの扱いが受け付けない。

作品を通したその中で「何でこのキャラクターがこんな目にあうんだ」は許容できるけど作品を使ってぶつけられる「何でこのキャラクターをこんな目にあわせるんだ」は回答を得られる事がまずないからやりきれない。

どちらも好みの問題

結局の所自分の中で分けて満足したけど、じゃあ救いがない話は全部だめなのか?というとそうでもない。あらかじめそういう作品だしそれが見たい、そう言う事をする作者だって分かった上で触れる分には問題ないし、救いがなかったキャラクターにも作者の愛が感じられたら気にならない。けどそもそもそういうのは救いがないという段階に行かない事が多い。
作者が助ける余幅を残してくれるから。構えていても押し付けられた消せない記憶から自分を守るための行動が強要されたとしても、そういうのも刺激の一つだとかそれこそが醍醐味だって楽しめる人もいる。それに救われない話の中に救いがない話も混ざっている事があるからいくつもそういうエピソードが混ざったりする暗いお話はバランス調整がかなり難しいと思う。
ただ一つ救いがない話が混ざっていても救われない話の中の小さな違和感というだけで他の魅力があったら気にせずにいられる事もある。どっちともつかない曖昧なものもあるし、好きなはずの方なのに受け付けない、苦手なのにこれは大丈夫というものもある。最終的には合わないパターンも含んでいる可能性を覚悟して最初からのめり込みすぎないよう、そして見て危なかったらすぐやめて少しでも自分を守るくらいしかできない。

そもそもこんな些細な違いをわざわざ気にして分ける事でようやく落ち着く私みたいなめんどくさい人もほとんどいないかもしれない。ただ似た様に「同じ辛い系の作品なのになんで大丈夫なのとダメなのがあるんだろう?」って思ってる人がいたら何かしらの発見になったらいいな。とりあえず自分の中のもやもやを吐き出せて満足。

救われない話でオススメ作品があったら教えてください。でも一番はハッピーエンド物が好きだからそういうのも知りたい。

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